個人でエステサロンを開業することのメリットとデメリット

個人でエステサロンを開業することのメリットとデメリット

個人でエステサロンを開業することには、独自のメリットとデメリットがあります。

多くのエステサロンオーナーが個人事業主としてスタートするのは、開業コストや手続きの簡易さが大きな要因です。
しかし、個人事業主としての開業にはデメリットも伴います。

ここでは、個人でエステサロンを開業する際の利点と課題について解説していきます。

1. 個人でエステサロンを開業するメリット

メリット1 初期費用が低く抑えられる個人でエステサロンを開業する場合、法人設立に必要な登録免許税や司法書士の報酬などのコストがかかりません。

そのため、サロンの内装費や機材購入、広告宣伝費に集中して予算を割り当てることができます。法人の場合、設立費用として20万~30万円ほどが必要ですが、個人事業主ならば税務署に「開業届」を提出するだけで開業可能です。

メリット2手続きが簡単で、すぐに開業できる個人でエステサロンを開業する際の手続きは、税務署への開業届の提出が主であり、法人設立に比べて手続きが非常に簡単です。

開業に関する準備が整い次第、比較的短期間でサロンをオープンできます。さらに、事業規模が小さい場合は、設備投資や店舗確保に関する手続きも少ないため、すぐにサロン運営を開始しやすい点も魅力です。

メリット3収益を自由に使える個人事業主としての収益は、事業所得となり、税引き後は個人の自由に使うことができます。

法人の場合、役員報酬や賞与などの形でしか個人の手元に資金を引き出せませんが、個人事業主ならサロンの利益がそのまま個人の収入となります。これにより、経営者自身の経済的な自由度が高まりやすいです。

メリット4自分のペースでサロン運営が可能個人でエステサロンを開業する場合、自分のライフスタイルやペースに合わせた経営が可能です。

たとえば、営業時間や休業日も自由に決められるため、子育てや副業との両立がしやすく、柔軟な働き方が実現しやすいです。特に、エステサロン業務のうち、フェイシャルケアやボディケアは特別な免許を必要としないため、時間や施術内容も比較的自由に設定できます。

メリット5利益の状況に応じた税務対応が可能個人事業主としてのサロン経営では、青色申告制度を利用することで、所得控除や損失の繰越控除を活用した節税が可能です。

また、収益が低い場合には白色申告で対応し、必要に応じて確定申告の手続きを簡素化できます。青色申告ならば、最大65万円の特別控除を受けられるため、税務面でも有利です。


2. 個人でエステサロンを開業するデメリット

デメリット1事業に対する全責任を負う個人でエステサロンを開業する場合、事業に関する責任は全て経営者個人が負うことになります。

たとえば、サロンの経営がうまくいかず、借入金や経費の支払いが難しくなった場合には、個人資産を売却して返済に充てる必要が生じることもあります。法人の場合は、事業に対する責任が会社に帰属し、個人の財産が保護されやすいですが、個人事業主にはその保護がありません。

デメリット2資金調達の難易度が高い個人事業主としてエステサロンを開業する場合、法人に比べて金融機関からの資金調達が難しい場合があります。

金融機関からの融資審査では、法人の方が信頼性や安定性が高く評価されるため、特に事業規模が大きくなったり、拡張する際の資金調達に苦労する可能性があります。日本政策金融公庫などが提供する創業融資を利用できる場合もありますが、審査が厳しい場合があります。

デメリット3社会保険への加入義務がない(福利厚生に制約)個人事業主の場合、従業員が5人未満であれば社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入する義務がありません。

そのため、従業員を雇用する際に福利厚生面での魅力が低くなる場合があり、優秀なスタッフの確保が難しいケースもあります。また、法人の場合は全従業員が社会保険の対象になるため、将来の事業拡大を見据えて安定的な人材確保を目指すには法人化が望ましいケースもあります。

デメリット4信用度が法人に比べて低い個人事業主は、法人と比べると対外的な信用度が低い場合があります。

特に、取引先や大手の顧客に対しては法人化の方が信頼を得やすく、業務提携や大口取引の獲得にも有利です。また、法人の場合には会社としての格があるため、ビジネス上での信用が向上し、サロンのブランディングにおいてもプラスに働きます。

デメリット5税務面での負担が増えることがある個人事業主の場合、所得税は累進課税(所得が増えるほど税率が上がる)であり、一定以上の利益が出ると高い税率が適用されます。

法人の場合、法人税率が一定であるため、利益が大きくなると個人事業主よりも税負担が軽くなることがあります。また、法人では経費として計上できる範囲が広く、税務上有利な経費計上が可能です。


3. 個人でエステサロンを開業する際の注意点

注意点1施術の範囲に注意エステサロンでは、美容やリラクゼーション目的の施術が主となりますが、医療行為に該当する施術を行うと法律違反となります。

特に、レーザーや高周波など医療機器を使用する施術は医療行為にあたるため、医師免許が必要です。また、脱毛やピーリングの施術にも制約があるため、提供する施術の範囲を事前に確認することが重要です。

注意点2保険への加入を検討エステサロンでは、肌トラブルや施術中の事故のリスクがあるため、損害賠償責任保険やPL保険(製造物責任保険)への加入を検討することが必要です。

これにより、万が一の事故やトラブルが発生した際に迅速に対応でき、顧客への信頼感を高めることにもつながります。

注意点3衛生管理の徹底エステサロンは衛生管理が非常に重要です。保健所への届出が不要な場合でも、感染予防のための消毒や衛生管理に細心の注意を払うことが求められます。

特に、多くの人が利用する施術用ベッドやタオルなどの清潔さを保つことが顧客満足に直結します。


まとめ個人でエステサロンを開業することは、手軽にスタートできるという大きなメリットがある一方で、資金調達や信用面、責任の範囲などのデメリットも伴います。

少人数で始めたい場合には個人事業主が適していますが、事業を拡大する予定がある場合は法人化も視野に入れた方が良いかもしれません。

個人でエステサロンを開業する際には、こうしたメリットとデメリットをしっかり把握した上で、計画的に進めることが成功の鍵となるでしょう。

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